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福山市のデニム工場マップ|地元企業の強み

広島県福山市は、国内有数のデニム産地として知られています。

「デニムといえば岡山県倉敷市の児島」というイメージを持っている方も多いかもしれません。
しかし、デニム生地の生産という視点で見ると、福山は日本のデニム産業を支える非常に重要な地域です。

福山市によると、福山のデニム生産量は全国シェア約8割
さらに大きな特徴となっているのが、紡績・染色・織布・加工・縫製・洗いなど、デニム製品が完成するまでのさまざまな工程を担う企業が地域に集積していることです。

つまり福山には、単に「デニム工場」があるのではありません。

それぞれ異なる専門技術を持った工場が連携することで、一つのデニム産地を形成しているのです。

福山市は日本を代表するデニム産地

福山デニムのルーツは「備後絣」

福山市で繊維産業が発展した背景には、江戸時代から続く長い歴史があります。

福山藩初代藩主・水野勝成による奨励もあり、この地域では綿の栽培が盛んになりました。

さらに江戸時代後期には、日本三大絣の一つとされる「備後絣」が誕生します。

備後絣の生産によって培われた、厚手の生地を織る技術藍染めをはじめとした染色技術などが、後のデニム産業へと受け継がれていきました。

現在の福山デニムは突然生まれた産業ではなく、何世代にもわたって蓄積されてきた繊維加工技術の延長線上にあるといえるでしょう。

デニムの各工程を担う企業が集積している

デニム製品は、一つの工場だけで完成するとは限りません。

一般的には、

・糸を準備する
・糸を染める
・デニム生地を織る
・生地を加工する
・製品を縫製する
・洗いやダメージ加工などで風合いを出す

といった複数の工程があります。

福山周辺には、これらの工程を専門とする企業が集積しています。

福山市も、紡績・染色・織布・加工・縫製・洗いまでデニム生産に関わるすべての工程が地域にそろっていることを産地の特徴として挙げています。

それぞれの会社が専門分野を磨く「分業」によって、高い品質を実現しているのが福山デニムの強みです。

福山市のデニム工場マップ|代表的な企業一覧

福山市には数多くの繊維関連企業があります。

ここでは、福山デニムを知るうえで押さえておきたい代表的な企業を紹介します。

※各企業の対応内容や工場所在地などは変更される場合があります。取引や見学などを検討する場合は、各社の公式情報をご確認ください。

1.小田デニム洗業株式会社|駅家町

https://oda-denim.jp/

所在地:広島県福山市駅家町大字万能倉327番地

小田デニム洗業は、デニムの染色・洗い加工を中心に、製品へさまざまな表情を生み出す加工工程を担う会社です。

主な事業として、

・デニム染色・洗い加工
・ダメージ加工・ヴィンテージ加工
・繊維加工・生地加工
・製造工程への対応

などを行っています。

デニムは、同じ生地を使用していても「洗い」によって色落ちや柔らかさ、風合いが大きく変わります。

新品のデニムに長年穿き込んだような表情を与えたり、独特の色落ちを表現したりする加工は、完成品の印象を決める重要な工程です。

小田デニム洗業は、こうしたデニム産地・福山の「仕上げ」に関わる技術を担っています。

2.カイハラ株式会社|新市町

https://www.kaihara-denim.com

福山市新市町に本社を置く、デニム生地メーカーです。

福山を代表するデニム関連企業の一つで、国内だけでなく世界のアパレル市場にもデニム生地を供給しています。

福山のデニム産業を調べるうえでは欠かせない企業といえるでしょう。

3.篠原テキスタイル株式会社|駅家町

https://www.shinotex.jp/en

所在地:広島県福山市駅家町中島703

篠原テキスタイルは、福山市駅家町に拠点を置く織物メーカーです。

国内外へ向けたデニム生地などを手掛けており、福山の「織布」の技術を支える企業の一つです。公的なデニム産業資料でも、福山地域を代表する企業として掲載されています。

4.坂本デニム株式会社|神辺町

https://www.sakamoto-d.co.jp

坂本デニムは、福山市神辺町に本社を置くデニム関連企業です。

デニムづくりに欠かせない染色工程を担う企業として、福山のデニム産業を支えています。こちらも福山地域のデニム関連企業として公的資料に掲載されています。

なぜ福山にはデニム工場が多いのか

長年培われてきた繊維産業の技術がある

先ほど紹介した備後絣をはじめ、福山周辺では古くから繊維産業が発展してきました。

そのため、染める技術織る技術加工する技術縫う技術が地域に蓄積されています。

デニム産業へ移行したあとも、その技術やノウハウが受け継がれてきました。

分業によって専門技術を磨いてきた

もう一つ重要なのが、分業制です。

一社ですべてを行うのではなく、それぞれの会社が得意な工程を担当します。

例えば、生地を織る会社があり、染色を得意とする会社があり、さらに製品へ独特の表情を与える洗い加工を専門とする会社があります。

福山市も、この専門化された分業体制によって各工程が高い技術を持つことを福山デニムの特徴として紹介しています。

「一社の技術力」だけではなく「産地全体の技術力」でデニムを作れる。

ここが福山の大きな強みです。

福山デニムはどのような工程で作られる?

福山デニムの強みを理解するためには、デニムが完成するまでの工程を知ることが重要です。

福山市には、紡績・染色・織布・加工・縫製・洗いといった各工程を担う企業が集積しています。各社が専門性を高めながら連携することで、産地全体として高品質なデニムを生み出しています。

紡績|デニムの原料となる糸を作る

最初の工程が紡績です。

綿などの繊維から糸を作り、デニム生地の原料を準備します。

糸の太さや種類によって、生地の厚みや風合い、穿き心地なども変化します。

染色|デニム特有の色を生み出す

続いて行われるのが染色です。

デニムを象徴するインディゴブルーも、この工程によって作られます。

福山では、備後絣から受け継がれてきた藍染めなどの染色技術がデニム産業の発展につながりました。

織布|糸からデニム生地を作る

染色された糸を織り、生地へと仕上げる工程です。

デニムは一般的な薄手の生地とは異なり、厚みや強度が求められます。

福山では備後絣の生産を通じて培われた厚手生地を織る技術が、現在のデニム生産にも受け継がれています。

縫製|生地を製品の形へ仕上げる

完成したデニム生地を裁断・縫製し、ジーンズやジャケットなどの形へ仕上げます。

デニムは厚みがあるため、縫製にも専門的な技術が必要です。

福山を含む備中・備後地域には、こうした縫製工程を担う事業者も集積しています。

洗い・加工|デニムに最終的な表情を与える

縫製されたばかりのデニムは、生地が硬く色も均一な状態です。

そこで重要になるのが、洗い・加工の工程です。

ウォッシュ加工などを施すことで、

・柔らかな質感
・自然な色落ち
・ヴィンテージ感
・ヒゲやアタリ
・サイズの安定性

などを調整します。

つまり、洗い加工は単に「完成したジーンズを洗う作業」ではありません。

デニムの見た目・質感・着心地を仕上げ、商品の個性を作る重要な工程なのです。

デニムの洗い加工が仕上がりを左右する理由

同じ生地でもまったく違う表情を作れる

デニムの面白さの一つが、加工によって表情が大きく変化することです。

例えば、濃いインディゴを残したデニムと、長年穿き込んだような淡いブルーのデニムでは印象がまったく異なります。

しかし、元をたどれば同じデニム生地から作られている場合もあります。

この違いを生み出しているのが洗い・加工技術です。

加工方法や強さを調整することで、ブランドや商品コンセプトに合わせたデニムの表情を作り出すことができます。

着心地にも影響する

洗い加工は見た目だけでなく、着心地にも関係します。

織り上げたばかりのデニムにはハリや硬さがありますが、ウォッシュ加工によって繊維がほぐれることで、柔らかく身体になじみやすい状態になります。

さらに、事前に洗いをかけて縮みを出しておくことで、製品としてのサイズを安定させる役割もあります。

ブランドの個性を表現する工程でもある

ワンウォッシュ、ストーンウォッシュ、バイオウォッシュ、ブリーチ加工、ケミカルウォッシュなど、デニムにはさまざまな加工方法があります。

さらに複数の加工や仕上げを組み合わせれば、表現の幅は大きく広がります。

そのため洗い加工は、デニムブランドの世界観や商品の価値を形にする工程ともいえるでしょう。

福山のデニム工場の強みとは?

産地内で一連の工程に対応できる

福山最大の強みは、特定の有名企業だけにあるわけではありません。

デニム生産に必要なさまざまな技術を持った企業が、産地として集積していることそのものが強みです。

福山市の資料では、備後圏域全体にデニム関連企業が85社以上集積しているとされており、中小企業を中心としたクラスター型の産業が形成されています。

染色会社だけ、織物会社だけ、加工会社だけではなく、それぞれの専門企業が近い地域に存在することで、産地全体でデニムづくりを支えています。

各工程の専門性が高い

分業には、それぞれの会社が一つの技術を深く追求できるというメリットがあります。

福山では長年、染める織る縫う加工する洗うという各分野の技術が磨かれてきました。

福山市も、工程ごとの分業による専門化が、世界から評価される高い技術につながっているとしています。

世界へつながるデニム産地

福山で作られるデニムは、国内だけで使用されているわけではありません。

例えばカイハラは、ブルーデニム生地で国内約50%のシェアを持ち、海外にも素材を供給しています。

また福山市では、海外展示会への出展やブランドとのマッチングなど、備中備後ジャパンデニムの国内外への発信も進められています。

福山の工場で培われている技術が、国内外のデニム製品につながっているのです。

福山のデニム工場で働く魅力

福山のデニム産業は、製品だけでなく「ものづくりの仕事」という視点からも魅力があります。

専門技術を身につけられる

デニム工場では、機械を動かすだけではありません。

生地の状態や色、加工の強さなどを確認しながら、目的とする品質へ近づけていく必要があります。

経験を重ねることで、デニム製造に関する専門的な技術や感覚を身につけられる仕事です。

自分が関わった製品が世の中へ出ていく

工場ではBtoBの仕事も多いため、一般消費者から会社名が見えにくいことがあります。

しかし、その工場で染めた糸や織った生地、加工した製品が、最終的にはアパレルショップなどに並びます。

小田デニム洗業も、「自分の手で仕上げたデニムが誰かの日常で長く使われる」という、ものづくりならではの魅力を採用情報で伝えています。

福山の技術を次世代へつなげられる

一方で、福山の繊維産業では担い手不足や従業者数の減少も課題となっています。

長年培われてきたデニム加工技術を次世代へ残すためにも、若い世代への技術継承は重要です。

デニム工場で働くことは、一つの商品を作るだけでなく、福山に根付いたものづくり文化を未来へつなぐ仕事でもあります。

福山のデニム工場に関するよくある質問

福山市は本当にデニムの産地ですか?

はい。

福山市によると、福山のデニム生産量は全国シェア約8割を占めています。備後絣から受け継がれた織布・染色技術を背景に、日本を代表するデニム産地へ発展しました。

福山と岡山県児島のデニムは何が違うのですか?

どちらも日本のデニム産業を代表する地域ですが、福山は特にデニム生地の一大産地であり、生産工程を担う企業が集積していることが特徴です。

福山市の資料では、福山で生産されたデニム生地が倉敷などにも供給されていることが紹介されています。

単純にどちらが優れているというものではなく、備中・備後地域全体に多様なデニム関連企業が存在し、それぞれの技術が日本のデニム産業を支えています。

デニム工場は見学できますか?

工場見学の可否は企業によって異なります。

通常の製造工場は自由に入場できる施設ではないため、見学を希望する場合は各企業や産地ツアーなどの最新情報を事前に確認しましょう。

福山では、産地のさまざまな工場を巡る取り組みも行われています。

デニムの洗い加工とは何ですか?

完成したデニム製品などへ洗い加工を施し、色味・柔らかさ・風合い・縮みなどを調整する工程です。

加工方法によって、濃いインディゴからヴィンテージ感のある色落ちまで、さまざまな表現を作ることができます。

まとめ|福山のデニム工場は専門企業の連携が強み

福山市は、デニム生産量で全国シェア約8割を占める、日本を代表するデニム産地です。

その強さを支えているのが、地域に集積するデニム関連工場です。

紡績から染色、織布、加工、縫製、洗いまで、それぞれの工程を得意とする企業が専門技術を磨きながら連携しています。

そして、デニムは生地を織って縫製すれば完成するわけではありません。

洗いやダメージ加工などによって色・質感・着心地を整える工程まで含めて、一着のデニムが完成します。

福山のデニム工場を地図で見ていくと、単なる工場の一覧ではなく、地域全体が一つの大きなデニム工場のように機能していることが見えてきます。

福山デニムの魅力を知る際には、完成した製品だけでなく、その裏側で専門技術を磨き続けている地元企業にも注目してみてください。